心霊 ~パンデミック~ フェイズ2 /君がある日僕を見なくなった日

『ほんとにあった!呪いのビデオ』のスタッフによる、新たな心霊ドキュメンタリーシリーズ。。前作から短い期間でリリースというのが好感。相変わらずジャケットが格好良い。これからも統一感も大切にして欲しいですね。では、何時もどおり、ネタバレしつつ走り書き。

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①「うちこむ」

『グラン・トリノ』のポスターが貼られ、スピーカーから流れるのは「千本桜」、「メランコリック」、食べる約束は「パンケーキ」、カルチャーが雑多な部屋で起こる怪奇現象を収めた一篇。二段ベッドから撮影者が降りてきて、対象の隣にカメラを位置づけてからの、振り向かせるまでの焦らしたランタイム、パソコンの「シャットダウン」に見るホワイトアウト→ブラックアウトという良い感じに計算された流れ。少女が画面の中に現れるという映像上の奥行も魅力で、「搬送中に母親の手を掴んで泣き叫んでいた」悲劇の端緒も余韻を残すが、やはりここでのキーは「見詰める」視線にあるのだろう。これは本作のメインとなる「みつめる」にそのまま接続されゆくのだから。


 

②「つる」

こちらは友人と渓流釣りをした時の映像で、その帰り道に友人の誘導で危険看板が立て掛けられた林の作業道を「近道」につかったことで起きる不可解な心霊現象(異界への近道だったのでは)。友人が撮影者を置いてけぼりに、先先行ってしまうのは、もう既に霊的な操作があるのか否か、とにかく、あの友人の軽率な対応は何だったんだ。あと「こりゃ駄目だ」的な撮影者の発言(一度カメラを地面に置く)とかも引っ掛かるし。夜も更けてすっかり、森林に迷ってしまった時の心理状態は、どうやら前作のラスト「ばける 後編」での徳丸の心理状態に似ていて、ひとたび躓くだけで、あれだけ「見えない何か」に怒りをぶつけてしまうものなのだな。そうして、完全に路頭に迷ったここからの連続的な霊障が非常にアグレッシブ。少し離れた位置にある木の幹から枝が生えたかのように登場する女性の霊、続いて接近した位置からまた同じように登場する木の幹からの男性の霊、慌てふためく撮影者が捉えた地面付近の震える手、一目散に林道に飛び出し、見渡しと確認、そしてトドメの両脇からの襲来。これは息つく暇無しである。霊の推測は幼少期に聞いた話である首吊り自殺をした夫婦というところで、タイトルの「つる」は「釣り」と「首吊り」のダブルミーニング、いや駄洒落でありました。


 

③「みつめる 前編」

アイドル・るみさんからの投稿映像(USB)。前作同様に構成上、③はメインパートが配置される。ここで、スタッフの登場になるのだが、前作の後日談で、車に轢かれた徳丸(男性スタッフ)が気になる所である。しかし、それ程、視聴者は気にも留めてないだろうということなのか、ギブスを嵌めている徳丸に対しては何も触れず。しかも、女性スタッフが変わっている、…というか増えてるのかコレは?。前作で華麗な平手打ちを魅せた豪傑の女性スタッフは何処へ行ったのだろう。別行動で遠くに取材している可能性も、少数精鋭だから特には無いだろうし、さすがにそれだと種を撒くだろうしなぁ。…(※1)。投稿映像の内容は、るみさんが歌う楽曲の録音風景を撮影したメイキング映像1と、るみさんがメンバー達とダンスレッスンを受けている様子を撮影したメイキング映像2の2つ。一つ目は、録音中に音源が乱れる、雑音が入る、モニターの映像が切れる、るみさんが倒れる、ブースに設置されたカメラにはるみさんを「みつめる」人影が現れるなど、怒涛の混乱の連鎖だが、至って地味。レコーディングスタジオは条件上、場所が分断されるので、良い舞台ではあるなー。二つ目は、レッスンスタジオの特性である鏡張りを活かした様だ。しかし、これもシンプル。ここで解るのは、恨めしそうにるみさんを「見る」人影は男性の姿であること、それが「ガンモ」というハンドルネームで知られる本名不明の初期からの古参ファンに似ているということ。しかし、彼には自殺した噂があるということだ。後編に「つづく」

(※1)前作と合わせて再見したのですが、前作に登場した高田かなえを演じた役者のようですね。しかし、同一人物としてでは無いですね。


 

④「もぐる」

水中撮影が可能な流行のアクションカメラで撮影された一篇。前回の「ドーナツセルフィー」といい、やはり本シリーズは、目の付け所が最先端で良い。海中のPOVはこれからジャンルムービーの未来を開拓していく可能性に満ち溢れているなー。音声の対処が問題という感じだけど、充分新鮮さがありました。霊障自体は、想定内でここで言うまででもない。引っ張られるという動作は水中だと5割増で怖い。


 

⑤「すみつく」

中学時代の友人とその部屋の撮影。宅飲みしながら他愛も無い話を交わしている投稿者達。カメラをテーブルに置いたと同時の衝撃で向きが変わり、画面は部屋の壁を映し出すと、そこに現れたのは、無数の手と顔。事故物件とかでは無いようだが、以降「人に見られている気配」を感じるようになったらしい。①と同じく、こちらも「見つめる/見られる」というイメージとして本作のメインに直結する。


 

⑥「めでる」

投稿者が彼女とアダルトショップとラブホテルを巡った時に撮影した映像。メイドのコスプレを要請し、目隠しプレイ、ハメ撮り。ホラービデオの箸休めによくある超安物AVだが、これは④と似て、ほぼ実体の霊が出現なので、純粋に気持ちが悪い。取り敢えず血染めであるとか、血を流しているとかはハッタリだと思ってるのだけれど、これは目隠しの状況と、ズームアウトと同時の振り向きが的確。


 

⑦「みつめる 後編」

本編の最終篇であり、③の後編。あれからスタッフが調査を重ねると、レコーディングスタジオやレッスンスタジオは現在問題が無いことが判明。更なる情報を得る為に、近隣住民に話を聞くが情報は得られず。一応、場所に由来しているのではという予測を立て、「ガンモ」とダイレクトメールでコンタクトを取るが返事は無し。しかし、他のユーザーにコンタクトを取って聞いてみるとやはり噂通り自殺していたことは確定。ついでにガンモの住んでいたアパートへ行ったことがあるユーザーと連絡が取れ、スタッフはガンモが自殺を行ったアパートへ赴くことに。ここでのシンクの怪しさが良い。ちなみに管理人の話によると、ガンモの両親は自殺した遺体を引き取らなかったという。悲しいアイドルオタクの末路である。遺品整理をしているので、手がかりは何も無かった。その日の夜、マネージャーからの電話があり急転。るみさんが突如姿を消したという。急いでスタッフはマネージャーと合流し、るみさんを手当たり次第に捜索する。ここで冷静沈着に一端整理する徳丸の仕事振り。絶叫が聞こえた方向にるみさんを1番に発見するのも徳丸だ。「これは徳丸回だ!」と思った矢先、理性を失ったるみさんに上段蹴りを食らう徳丸。骨折している徳丸にはこれは痛い!酷い!無事るみさんの救出には成功するが、徳丸が可哀想でめちゃくちゃ笑いました。前作の経験からして、ここからの後日談こそ、『心霊~パンデミック~』の真骨頂で、どんなビックリ玉手箱を用意しているのかという所に期待を寄せてしまう。期待通りマネージャーは、捜索時(?)にるみさんの部屋にあったスマホに残された自撮り映像を発見していたのだという。内容はアイドルの部屋紹介というファンに向けて作られる、よくある映像である。寝る前にやることなどとプライベートな一面が垣間見れる映像だ。るみさんはストレッチに励み、カメラはるみさんを捉えている。ここで前屈と同時に⑤のように「壁」に現れる「ガンモ」の霊。壁からまたるみさんを「みつめている」訳だが、静かな空間に不可解な物音が突然聞こえ、ゆっくりと、また静かにるみさんがまるで「シャットダウン」するかのように消えていくのである。上から下に、明らかに可笑しく。理性が無くなっていた理由はここで何となく推し量れるが、ここで全てが終了。非常に意表を突く奇妙な前後篇であった。


 

前作とはまた違ったアプローチで攻めたフェイズ2。ちょっとこればかりは、どう転がっていくのかまったく予想が付かなくなってきた。1と2を合わせた脈絡の無い点が、一本の線になるかは不明だし、スタッフがこれからどういう動きを見せるのか少しも解らない。期待と不安を寄せつつ、これからも続編を待ちたい。欲を言えば、年内にあと一本見たいところ。


 

2016年1月某日再見。

『心霊~パンデミック~』の面白さを再見して要約掴んだ気がする。

リプレイをせずに、この配置とカットイン。鳥肌モノでしょう。

 

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つまりは、

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ということなのですが、このシリーズ、リプレイをするか/しないか(答え合わせをするか/しないか)という心霊動画の命題に真摯に向き合っているのですよ。その意匠に惚れました。

心霊~パンデミック~ / 早く私を見つけてよ

『ほんとにあった!呪いのビデオ』のスタッフによる、新たな心霊ドキュメンタリーシリーズ。『心霊玉手匣』でお馴染みの「アムモ98」からの登場です。

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見てくださいよ、この格好良いジャケット。良いですねえ、好きですねえ。扉の先には異界/霊界が…なんて言いたそうな、気合いの入ったパッケージ。「身近な映像に潜む怪奇現象」を集めたのがひとつの味噌な気もしますが、まさにこちらの日常/世界へと扉をこじ開けてきそうな画力。では、実際その中身はどうだったのか。何時もどおりにネタバレしつつ筆を進めます。


 

『心霊~パンデミック~』は、主に7つの映像で形成されています。それらひとつひとつがパズルの断片になり、最終的にひとつのパズルが完成する様な、今ではもう既に「遅い」「古い」といっても過言では無い手法で、映像郡が成り立ちます。とは言い条、「LINE」による乗っ取りや拡散、「Twitter」による画像投稿等、それら「SNS」に関連したものがひとつのヒントになっているというところでは、確かにモダンテイストでありました。投稿映像自体はどれも短いものなのでサクッと。


 

①「なげこむ」

ある夫婦の家に度々投げ込まれる、四肢がへし折られ、髪はボサボサの奇妙な人形(多分、リカちゃん人形)。悪質な嫌がらせに痺れを切らした夫婦は犯人をとっ捕まえようとカメラを準備し、犯人がくるのを待ちます。投げ込まれる物音、カーテンの開閉、犯人を追うという流れから、遂に犯人の姿をカメラで捉える訳ですが、こちらを振り向いた犯人の顔は、見る見る内に斑点の様なものを浮かばせて、まるで犯人は自我を持っていない表情をみせるのであります。この映像は、「全てが謎のまま」で終わり、続編以降で回収されるのかも、未だ分からない状態でした。


 

②「めぐる」

墓地を巡って、墓地を背景に自撮り映像を撮影する若者。ぐるーっと見渡して遊んでいると、彼の肩口付近にそれは現れます。じーっとこちらを見詰める死霊。それを収めた彼はその日を境に不慮の死を遂げ、この世を去ります。この映像も①同様「謎のまま」でした。しかし、ここでの演出開発は「ドーナツセルフィー」でしょう。持続的な演出は無理だろうと思いますが、 「瞬間移動」の編集をいとも簡単に行えるのは面白い。アイテムによっては広範囲の撮影を行える自撮りと組み合わせていくと、確かな可能性があるような気がします。


 

③「ばける 前編」

テンカウントから始まる、半世紀前位古い投稿映像。ノイズの粒子で乱れまくって、「恐らく」という予想しか付かない映像です。其処に映るのは「恐らく」かくれんぼをしている少女達で、その後を追うように「恐らく」白い服を着た老婆の様な人物が現れます。映像終了と共にここで要約、スタッフと投稿者・高田かなえ(以下、高田)の登場シーン(インタビューシーン)。物語の本筋が始まります。この動画は、「LINE」の乗っ取り被害を受けた高田のアカウントから、拡散されたものであるらしく、映像の内容については、人物も場所も見覚えが無いらしい。その場で一時、投稿者である高田とは解散となりますが、以後、動画について検索をかけようとも、まるで情報が無く、進展も手がかりも無し。しまいには、高田と音信不通になる始末。なすすべなく投稿元の住所を辿り、高田の家宅調査に。高田の母親によると、夜が明けても全然彼女は帰宅せず、スタッフら同様に音信不通であるそう。高田の友人に何処へ行ったかを聞いても、分からない模様。仕方なく、次は友人に聞き込みに。友人によると、高田は「幼少期」のことを話したがらないらしい。そして、高田の「Twitter」のアカウントから、不可解な画像をツイートしているのを発見したそう。目元から血を流した少女の写真。ここでツイートの「位置情報」から、高田を追い掛けるという、ナイスな仕事振りを見せるスタッフ。なんだろう、現代の探偵っぽいな。


 

④「でかける」

ここでまた、本筋からは一旦離れた模様。遊園地での仲睦まじいカップルの投稿映像。帰宅しようと駐車した車内を覗くと、そこに映ったのはカメラを覗く血塗れの男。これが実体を帯びていて、一番鳥肌でありました。その後の帰宅途中、カップルは交通事故にあったそうで、そのことと関連する暗示でもあったのだろうか。


 

⑤「あばきたてる」

旅行先の旅館の近くにあった廃墟に遊び半分で訪れた投稿者と友人。そこに残された遺品(椅子やピアノ)で遊んでは、ふざけて奥に進んでいると、ビニールシートの様なもので隔てられた道を発見する。掻い潜って更に奥へ進むと、廊下がひろがり、投稿者の後ろからは、空席の椅子が出現。そして突然、こちらに向かって少女の霊が登場するという。その辺りには点在している村があり、少女の霊が徘徊している噂があるらしい。いずれにせよ、「少女」と「霊」のミックスはやはり怖いことを知らしめる一篇。


 

⑥「おちる」

旅行帰りに緑の光る物体を捉えた投稿映像。J-ホラーとはかけ離れたSF的な不穏さが。謎の物体が落下したであろう森林へ入っていくと、突然走り出す友人。後を追って駆けつけると、友人の耳からは出血というシンプルにグロい映像。①、②、④、⑤同様に、本筋とは掛け離れている映像のひとつ。霊障も無いですし。ただ、後々、思い返すと⑤と⑥は、「少女」と「村/森林」がのちに関係している気もしますが。この緑の光る物体が、シリーズに影響すると面白いかもしれない。


 

⑦「ばける 後編」

本編の最終篇であり、③の後編。「位置情報」から、投稿者/依頼人である高田の元へとスタッフが出動。たどり着いたのは、田舎の農村で、「神隠しの山」が見える村でありました。住民達に高田の写真を見せながら聞き込み調査を重ねると、「山の中にある小屋で自殺者が出た」ということや、「昔行方不明になった子供がいる」ことや、「神隠しの山」というのも、昔は「姥捨て山」だったことが分かります。③と照らし合わすと、”かくれんぼ”の際中に、「神隠し」にあった「子供/少女」が居ることや、「姥捨て山」に捨てられた老婆の霊であることが、老婆の出現につながったのでは無いかと、密接にリンクしていくのでありました。そして、調査も深まる中、「位置情報」や、投稿された「画像」を教えていた高田の母親から連絡が。母親の証言によるとその「位置」は、昔家族で住んでいたという場所であり、投稿された画像(写真)に映る少女は、高田の幼少期に似ているらしいのである。行方不明になった子も、実は高田の友達なのかもしれないという。さて、真相や如何に。という所で、位置情報が示した廃墟へ突入。ここで、二手に別れるスタッフ達。ヘッドカメラと手持ちに分断されます。ここでの編集がヘッドカメラの映像と手持ちの映像とで交互に切り替わる為、緊張感はぶつぎりという感じで、ちょっと勿体無いなという気持ち。難なく、高田を発見するのも肩透かしで。ただ、ここでの男性スタッフのビビり振りが素晴らしく(着信音の場面が秀逸)、なくなく労働する感じも好感で、女性スタッフも発狂する高田の目を醒まさせるべく繰り出す平手打ちの華麗さに笑いましたね。腰抜け(男)と豪傑(女)のコンビで頑張ってもらいたい。という訳で、無事高田を救出したスタッフ達。母親にも笑顔が戻り、一件落着。憶測だが、今回の一連は、「幼少期に行方不明になっていた高田の友達」の強い気持ちが引き起こしたのではないだろうかということでありました。しかしここがある種お膳立てなのですよねー。スタッフの徳丸が車に轢かれたという電話、事務所に現れる霊(リプレイ無しというスマートさ)、実はあの駐車場に!などなど、畳み掛ける霊障と伏線回収こそが、最後の絡繰で。結局、トゥ・ビー・コンティニュードな訳でありますが、ラストは気持ちが良かった。痺れた。


 

総括としては、良くも悪くも堅実な作りと語りかなぁという感じで、リプレイ~ズームの手順、全体的な手法から見て、『心霊玉手匣』の二番煎じになる気配がどうしてもある。抑、低予算だからといっても、事務所の場所は変えて欲しかった。そこに手を抜かないだけで、こちらの心持ちは変わるのに。あれだとどうしても『心霊玉手匣』が頭から離れない。それが狙いで、クルーが結集!、シリーズが合体して映画化!なんて夢の話はないでしょうし。とはいえ、やはりラストはかなりグッときたので、あのスマートさは常に、取り敢えずは続編で、独自性を打ち出して欲しいところであります。