心霊~パンデミック~ / 早く私を見つけてよ

『ほんとにあった!呪いのビデオ』のスタッフによる、新たな心霊ドキュメンタリーシリーズ。『心霊玉手匣』でお馴染みの「アムモ98」からの登場です。

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見てくださいよ、この格好良いジャケット。良いですねえ、好きですねえ。扉の先には異界/霊界が…なんて言いたそうな、気合いの入ったパッケージ。「身近な映像に潜む怪奇現象」を集めたのがひとつの味噌な気もしますが、まさにこちらの日常/世界へと扉をこじ開けてきそうな画力。では、実際その中身はどうだったのか。何時もどおりにネタバレしつつ筆を進めます。


 

『心霊~パンデミック~』は、主に7つの映像で形成されています。それらひとつひとつがパズルの断片になり、最終的にひとつのパズルが完成する様な、今ではもう既に「遅い」「古い」といっても過言では無い手法で、映像郡が成り立ちます。とは言い条、「LINE」による乗っ取りや拡散、「Twitter」による画像投稿等、それら「SNS」に関連したものがひとつのヒントになっているというところでは、確かにモダンテイストでありました。投稿映像自体はどれも短いものなのでサクッと。


 

①「なげこむ」

ある夫婦の家に度々投げ込まれる、四肢がへし折られ、髪はボサボサの奇妙な人形(多分、リカちゃん人形)。悪質な嫌がらせに痺れを切らした夫婦は犯人をとっ捕まえようとカメラを準備し、犯人がくるのを待ちます。投げ込まれる物音、カーテンの開閉、犯人を追うという流れから、遂に犯人の姿をカメラで捉える訳ですが、こちらを振り向いた犯人の顔は、見る見る内に斑点の様なものを浮かばせて、まるで犯人は自我を持っていない表情をみせるのであります。この映像は、「全てが謎のまま」で終わり、続編以降で回収されるのかも、未だ分からない状態でした。


 

②「めぐる」

墓地を巡って、墓地を背景に自撮り映像を撮影する若者。ぐるーっと見渡して遊んでいると、彼の肩口付近にそれは現れます。じーっとこちらを見詰める死霊。それを収めた彼はその日を境に不慮の死を遂げ、この世を去ります。この映像も①同様「謎のまま」でした。しかし、ここでの演出開発は「ドーナツセルフィー」でしょう。持続的な演出は無理だろうと思いますが、 「瞬間移動」の編集をいとも簡単に行えるのは面白い。アイテムによっては広範囲の撮影を行える自撮りと組み合わせていくと、確かな可能性があるような気がします。


 

③「ばける 前編」

テンカウントから始まる、半世紀前位古い投稿映像。ノイズの粒子で乱れまくって、「恐らく」という予想しか付かない映像です。其処に映るのは「恐らく」かくれんぼをしている少女達で、その後を追うように「恐らく」白い服を着た老婆の様な人物が現れます。映像終了と共にここで要約、スタッフと投稿者・高田かなえ(以下、高田)の登場シーン(インタビューシーン)。物語の本筋が始まります。この動画は、「LINE」の乗っ取り被害を受けた高田のアカウントから、拡散されたものであるらしく、映像の内容については、人物も場所も見覚えが無いらしい。その場で一時、投稿者である高田とは解散となりますが、以後、動画について検索をかけようとも、まるで情報が無く、進展も手がかりも無し。しまいには、高田と音信不通になる始末。なすすべなく投稿元の住所を辿り、高田の家宅調査に。高田の母親によると、夜が明けても全然彼女は帰宅せず、スタッフら同様に音信不通であるそう。高田の友人に何処へ行ったかを聞いても、分からない模様。仕方なく、次は友人に聞き込みに。友人によると、高田は「幼少期」のことを話したがらないらしい。そして、高田の「Twitter」のアカウントから、不可解な画像をツイートしているのを発見したそう。目元から血を流した少女の写真。ここでツイートの「位置情報」から、高田を追い掛けるという、ナイスな仕事振りを見せるスタッフ。なんだろう、現代の探偵っぽいな。


 

④「でかける」

ここでまた、本筋からは一旦離れた模様。遊園地での仲睦まじいカップルの投稿映像。帰宅しようと駐車した車内を覗くと、そこに映ったのはカメラを覗く血塗れの男。これが実体を帯びていて、一番鳥肌でありました。その後の帰宅途中、カップルは交通事故にあったそうで、そのことと関連する暗示でもあったのだろうか。


 

⑤「あばきたてる」

旅行先の旅館の近くにあった廃墟に遊び半分で訪れた投稿者と友人。そこに残された遺品(椅子やピアノ)で遊んでは、ふざけて奥に進んでいると、ビニールシートの様なもので隔てられた道を発見する。掻い潜って更に奥へ進むと、廊下がひろがり、投稿者の後ろからは、空席の椅子が出現。そして突然、こちらに向かって少女の霊が登場するという。その辺りには点在している村があり、少女の霊が徘徊している噂があるらしい。いずれにせよ、「少女」と「霊」のミックスはやはり怖いことを知らしめる一篇。


 

⑥「おちる」

旅行帰りに緑の光る物体を捉えた投稿映像。J-ホラーとはかけ離れたSF的な不穏さが。謎の物体が落下したであろう森林へ入っていくと、突然走り出す友人。後を追って駆けつけると、友人の耳からは出血というシンプルにグロい映像。①、②、④、⑤同様に、本筋とは掛け離れている映像のひとつ。霊障も無いですし。ただ、後々、思い返すと⑤と⑥は、「少女」と「村/森林」がのちに関係している気もしますが。この緑の光る物体が、シリーズに影響すると面白いかもしれない。


 

⑦「ばける 後編」

本編の最終篇であり、③の後編。「位置情報」から、投稿者/依頼人である高田の元へとスタッフが出動。たどり着いたのは、田舎の農村で、「神隠しの山」が見える村でありました。住民達に高田の写真を見せながら聞き込み調査を重ねると、「山の中にある小屋で自殺者が出た」ということや、「昔行方不明になった子供がいる」ことや、「神隠しの山」というのも、昔は「姥捨て山」だったことが分かります。③と照らし合わすと、”かくれんぼ”の際中に、「神隠し」にあった「子供/少女」が居ることや、「姥捨て山」に捨てられた老婆の霊であることが、老婆の出現につながったのでは無いかと、密接にリンクしていくのでありました。そして、調査も深まる中、「位置情報」や、投稿された「画像」を教えていた高田の母親から連絡が。母親の証言によるとその「位置」は、昔家族で住んでいたという場所であり、投稿された画像(写真)に映る少女は、高田の幼少期に似ているらしいのである。行方不明になった子も、実は高田の友達なのかもしれないという。さて、真相や如何に。という所で、位置情報が示した廃墟へ突入。ここで、二手に別れるスタッフ達。ヘッドカメラと手持ちに分断されます。ここでの編集がヘッドカメラの映像と手持ちの映像とで交互に切り替わる為、緊張感はぶつぎりという感じで、ちょっと勿体無いなという気持ち。難なく、高田を発見するのも肩透かしで。ただ、ここでの男性スタッフのビビり振りが素晴らしく(着信音の場面が秀逸)、なくなく労働する感じも好感で、女性スタッフも発狂する高田の目を醒まさせるべく繰り出す平手打ちの華麗さに笑いましたね。腰抜け(男)と豪傑(女)のコンビで頑張ってもらいたい。という訳で、無事高田を救出したスタッフ達。母親にも笑顔が戻り、一件落着。憶測だが、今回の一連は、「幼少期に行方不明になっていた高田の友達」の強い気持ちが引き起こしたのではないだろうかということでありました。しかしここがある種お膳立てなのですよねー。スタッフの徳丸が車に轢かれたという電話、事務所に現れる霊(リプレイ無しというスマートさ)、実はあの駐車場に!などなど、畳み掛ける霊障と伏線回収こそが、最後の絡繰で。結局、トゥ・ビー・コンティニュードな訳でありますが、ラストは気持ちが良かった。痺れた。


 

総括としては、良くも悪くも堅実な作りと語りかなぁという感じで、リプレイ~ズームの手順、全体的な手法から見て、『心霊玉手匣』の二番煎じになる気配がどうしてもある。抑、低予算だからといっても、事務所の場所は変えて欲しかった。そこに手を抜かないだけで、こちらの心持ちは変わるのに。あれだとどうしても『心霊玉手匣』が頭から離れない。それが狙いで、クルーが結集!、シリーズが合体して映画化!なんて夢の話はないでしょうし。とはいえ、やはりラストはかなりグッときたので、あのスマートさは常に、取り敢えずは続編で、独自性を打ち出して欲しいところであります。

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